去る11月12日にメディケア・リハビリ訪問看護ステーション京都にて「第1回メディケア・リハビリ地域講座」を開催いたしました。第1回の講座のテーマは「嚥下機能について」「栄養視点からのサルコペニア対策」です。地域のケアマネジャーや医師、ヘルパーの方々40名以上にご参加いただき、大変盛況でした。
第一部の講師はメディケア・リハビリ訪問看護ステーション京都に在籍する言語聴覚士の高田が務め、「嚥下機能について」をテーマに講演いたしました。
食べ物の量や形状の認識、食べ方の判断から、口に入れ、咀嚼し、飲み込んで胃へ送るまでの一連の流れである嚥下5期(認知期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期)の話題を中心に、それぞれの時期に起こる疾患とその症状を、ペットボトルを食道に見立てるなどして説明いたしました。
またその中で、参加者の方々には飲み物を飲まずにクラッカー4枚を口に含んで飲み込んでいただいたり、舌を使わずにお茶を飲んでいただいたりなど、擬似的な嚥下障害を実際に体験していただきました。中にはムセておられる方も複数おり、普段私たちが何気なく行っている「食べる」「飲み込む」といった行為が実はとても複雑な動作の組み合わせで成り立っているのだということを実感しました。
この嚥下5期は、1つの「期」だけの障害を持っていることは稀で、多くは複数の「期」の障害を持っている場合が多いそうです。その複数の障害を総合的に評価し、代償手段・訓練の検討を行うことが言語聴覚士の仕事の一つでもあります。
そのほか、上記の嚥下5期以外にも、食事の際の姿勢やとろみの付け方、評価についてもお話させていただきました。
第二部では株式会社クリニコ様をお招きし、「サルコペニアについて」をテーマにご講演いただきました。
サルコペニアとは、高齢または栄養不足によって筋肉の量が減少していく現象のことで、立ち上がりや歩行が段々と億劫になり、放置すると歩行困難になってしまう場合もあるそうです。
この日は、サルコペニアを予防するため、筋肉や骨、臓器の元となるたんぱく質、その中でも必須アミノ酸、特にバリン・ロイシン・イソロイシン(BCAA)を中心にお話いただきました。
このBCAAを摂取することによってサルコペニアだけではなく、低栄養や肝疾患、COPD(慢性閉塞型肺疾患)の予防にもつながるそうです。
また、高齢の方は若年層に比べてタンパク質の合成量が少ないため、量は勿論、質の良いものを摂取することがサルコペニア予防のポイントになるのだそうです。
講演後は、クリニコ様の嚥下食や栄養食などの製品試食会も行い、当訪問看護ステーションと近隣の居宅、病院だけでなく、居宅同士、病院同士の交流の場ともなりました。
今後も第2回、第3回とより良い内容の地域講座を開催していきたいと思います。