まだまだ日差しは夏模様ですが、朝夕少し涼しくかすかに秋の気配を感じるようになってきました。
今年のお盆休みは田舎に帰ったり、家に子どもや孫が来てくれて、昔使っていた家具や食器、子どもの頃のアルバムなど懐かしい物を見たり、思い出話をされた方も多いのではないでしょうか。
子どもの頃に食べたもの、使っていた道具、その時の楽しいエピソードなどを思い出すと懐かしく、あたたかい気持ちになりますよね。
実は、こうやって昔のことを思い出して楽しくお話をすることを回想法といい、認知症の予防、また認知症に対して効果的とされ、様々なデイサービスや病院、介護施設で行われています。
今回は私ハートちゃんが臨時の先生として『回想法』について簡単に紹介したいと思います!
- 回想法とは…
認知症の薬を使わない非薬物療法の1つで、昔の懐かしい写真や音楽、馴染み深い家庭用品を見たり、触れたりしながら昔の思い出や経験を語り合う一種の心理療法のことをいいます。
- 回想法の効果
回想法には、認知機能低下の抑制や精神状態を安定させる効果などが期待できます。
昔のことを思い出し、それを言葉にすることで脳が活性化され、脳内の血流量が上がります。さらに活動性・自発性・集中力が向上し、認知症の進行の予防となります。
また、他人に自分の話を聞いてもらうことで、自己肯定感が上がり、心が安らぐといわれています。
- 2人で行う場合…
家族や風景が映っている昔の写真などをもとに、1人がその時の思い出を話し、もう1人は内容を傾聴します。聞き手は写真について質問して回想を促します。
1対1で行うので、話し手のペースや話したいテーマに添って行えます。
1対1で行うといっても、ご家族や訪問ヘルパーなど話し手にとって身近な人とテレビを見ながら、料理をしながらなど、何気ない日常会話として気軽に回想法を取り入れることができます。
- グループで行う場合…
参加者の年代に馴染みのある生活用具を用意し、その用具の名前やそれにまつわる思い出などを語り合ったり、実際に用具に触れ、使ってみたりしながら回想します。
参加者同士で交流しながら進めていきます。
- 回想法で大事なこと
2人またはグループどちらの方法で行う場合でも大事なことがあります。
1つは話し手の話を肯定的に聞くことです。
回想法は過去の出来事を正しく話せるかどうかや内容を確認することが目的ではなく、
「思い出そうとすること」「自分の言葉で誰かに話すこと」
が目的なので、もし話し手の言う内容に記憶違いがあっても否定せずに受け止めます。
もう1つは話し手にとって知られたくないこと、思い出しにくいことは無理に話さなくても大丈夫です。時には話の中でネガティブな話題が出ることがありますが、そういう時は別の話題や思い出しやすいテーマに変えます。
(参照)介護のほんね「回想法とは|テーマ・手法・正しく実践する方法を紹介」https://www.kaigonohonne.com/guide/dementia/how-to/treatment/prevention
次回は、実際にどのように回想法を行っているのか、三重県松阪市にある当社のデイサービス「デイセンターリハビリプラザなでしこ」の取り組みの様子を紹介しますので、お楽しみに。