事例集とヒヤリ・ハットのページに「有料老人ホーム(成功事例):家族の願いをかなえる職員の熱意ある介護」を掲載しました。
2013年5月 のアーカイブ
『事例集とヒヤリ・ハット』事例掲載のお知らせ
2013年5月24日 金曜日有料老人ホーム(成功事例):家族の願いをかなえる職員の熱意ある介護
2013年5月24日 金曜日本人像:60代 女性 要介護4
利用までの経緯
50代後半にくも膜下出血で手術。後遺症で左上下肢麻痺と頭部の右傾斜が残り車いす生活となる。言語障害も残ったため、発語に聞き取りにくい点があった。夫は仕事があるため家での介護が困難となり老人保健施設に入居。しかし、入居中に血圧が上がり、一過性意識障害で入院、検査後に原因不明で退院となるが、夫はその老人保健施設に不信と不満があった。1つは、機能向上のためにリハビリを希望しても無駄だと言われたこと。2つめは、本人は「いらん」が口癖のため、食事を十分摂取できていないのに下膳されて痩せてしまったこと。3つめは、一人で放っておかれていることがある。洗顔も十分にしてもらっていないように思う。などである。家族はできるだけきめ細やかな介護を望める施設を探した。数か所の施設を見学後、当ホームに入居となる。
家族の意向
以前のように自分の足で歩いてもらいたい。妻がこうなったのも自分の責任でもある。こうなるまでにもっと早く気がついてあげたかった。夢は、妻を旅行に連れていくこと。とにかく妻が身体的にも精神的にも回復に向かうことを期待している。
援助の方針と働きかけ
くも膜下出血の後遺症で左上下肢麻痺と頭部右側傾斜があり、日常は車いす生活で、排泄・入浴は全介助が必要な状態であった。夫はきめ細やかな介護を強く望み、心身ともに元気になってほしいと切に願っていた。スタッフもみな熱意をもって応えられるよう努める。身体の清潔を保ち、安心で快適な生活ができるようにする。できるだけ残存機能を生かして日常生活が自立できるように見守りや介助の工夫をする。福祉用具(低反発エアーマット)のレンタルを利用して床ずれを防止する。
食事介助
食事の時、車いすで食堂ホールまで行き、皆さんと一緒に召し上がっていただいて楽しい雰囲気を味わってもらうようにした。
食事は右手で自力摂取はできるものの、頭部傾斜のためスプーンで口まで持っていく途中でこぼすこともあり、食べた物も口からこぼれる状態であった。そして上手く食事ができないことが嫌で「いらない」と言うのが口癖となり痩せてしまっていた。そこで、食事をする際にはすでに購入していた福祉用具クッション(中心がくぼんでいて両側が高くなっている)を椅子に敷き、お尻を椅子の右側に寄せて座ってもらうことで頭部傾斜の軽減になるように工夫した。また副食はミキサー食、主食はお粥、副食と水分(味噌汁・お茶)はとろみをつけてこぼれにくくし、さらに食べやすいように食器の位置を工夫(右傾斜が強いので、食事がちゃんと視線に入るようトレーも食器も手前に配置)することで、こぼれる量が少なくなった。今も「もういらん」の言葉は出るが、「もったいないなぁ」「もう少し食べましょう」と声かけをするとすぐに口をあけてくれるようになり、全部摂取できるようになった。
言語障害とコミュニケーション
言語障害のため、発語に聞き取りにくい面があり、口を大きく開けてゆっくりはっきり喋ってもらうように職員が声かけを繰り返した。たとえば、本人の話す言葉が何となくわかってもあやふやにせずに聞き返し、ゆっくりはっきり話してもらうことで意思を正確に聞き取った。また、通所職員にもホームでの取り組みを伝えて、うまくコミュニケーションがとれるように職員自身も丁寧に相手の目を見てゆっくり話すようにした。そして、日々の生活の中で職員も口を大きく開けてゆっくりはっきり喋るようにすることで本人が意識をするように働きかけたりした。また歌を歌ったり、誤嚥予防として食事前に口腔体操にも参加してもらったりもした。そうすることでゆっくり話すようになり、発音がしやすくなったことで本人は入居当初に比べて言葉もよく出るようになった。
他者との交流
気分転換に外出の機会をつくり、他者とのコミュニケーションを通じて生活に楽しみを持ってもらうよう通所サービスを利用した。指の運動や歌を歌うレクレーションに参加したり、ことわざクイズ、漢字問題集などにも取りくんでもらい、達成感を味わってもらいながら現在ある心身機能の維持に取り組む。
利用者・家族の声
家族の声:いつもお世話になり、本当にありがとうございます。自宅ではここまで丁寧に介護できません。妻の顔が明るく変わった。本当に嬉しいです。立派な建物や設備より大事なのはやはり気持ちです。職員の皆様にとても感謝しています。
結果とまとめ
入居当初の暗く硬かった表情は、今では驚くほど表情豊かに変化し、笑い声も大きくなった。当初は発語がはっきりしていなかったが、日々のコミュニケーションで口を大きく開けてゆっくりはっきり喋るように職員が根気よく声かけをし、同時に職員自身も相手の目を見ながら同じように口を大きく開けてゆっくり喋るようにしたことで、言葉はずいぶん聞き取りやすくなった。現在では短い話だと本人の言葉を聞き取れてコミュニケーションが可能になった。そうした結果が、本人の表情にも表れ、明るく表情豊かになったことは、すべての職員の喜びであり、夫からも「妻の顔が明るくなった」と感謝された。当初は、夫の希望をどこまで叶えられるか不安であったが、「心身ともに元気になってほしい」という強い願いを十分に受け止めて職員同士が上手に連携して介護に取り組んだことで、介護度5から4への改善と本人や家族の満足に繋がった事例だと言える。
ケアホーム伊賀 最新情報UPのお知らせ
2013年5月23日 木曜日第1回『老後の住まいの選び方セミナー』のご報告
2013年5月22日 水曜日職員募集(介護職員)
2013年5月21日 火曜日デイセンターリハビリプラザ松原の介護職員(パート)を募集しています。
詳細は、職員募集のページをご覧ください。
『事例集とヒヤリ・ハット』事例掲載のお知らせ
2013年5月17日 金曜日事例集とヒヤリ・ハットのページに「有料老人ホーム(成功事例):意欲を引き出すことで生活を活性化」を掲載しました。
有料老人ホーム(成功事例):意欲を引き出すことで生活を活性化
2013年5月17日 金曜日本人像:70代 女性、要介護3、視力障害(全盲)
利用までの経緯
本人は夫と二人暮らしをしていたが、疾病により71歳の時に全盲となり、日常生活全般に援助が必要となる。気分にむらがあり、意欲が低下し、食事も食べなくなる。左の上下肢にも軽い麻痺があり、胃潰瘍で吐血したこともある。夫は高齢で家での介護は困難である。本人も困っているとのことで当ホームへ入居となる。
援助の方針と働きかけ
71歳で全盲になり、何に対しても意欲をなくして「もういい」と諦めて無気力になっていた。本人の意思を大切にしながら安全で快適な日常生活を送れるように支援する。常に声かけをし、コミュニケーションを密にして信頼関係を深める。そして、やる気を引き出し、離床時間を少しずつ増やし、気分転換や人との交流を図り生活を活性化させるよう支援する。また、起居動作や移動を安全に行い、床ずれの防止ができるように福祉用具貸与を支援する。
視力障害への配慮
常に声かけしコミュニケーションをとることを心掛ける。問いかけて考えていることを話してもらうことで、会話も成り立ち、話も弾み本人の理解に繋がる。
不安を感じさせないように何をする時にも「車椅子に移乗しますよ」「ホールへ行きますよ」など常に声かけをし、周りの状況がイメージできるように伝えた。また手に触れてもらい感触で実感してもらった。見えないと言葉にはとても敏感で、他の入居者同士が話をしていても自分に言われていると思って返答するので、他の入居者には話し相手の名前を呼び掛けてから話をしてもらうように配慮した。
食事介助
当初は食事をしている時、頭部が後方に倒れるため顎が上向き、誤嚥することが多かった。何度も声かけをしても改善できなかったので、車いす用のヘッドレストを貸与して食事をするとむせることがほとんどなくなった。食事は入居後はしばらく全介助で、自宅でも夫に頼っていたが、スタッフは自分で食べることを目標にしてみるよう提案した。食器の位置を替えてスムーズにいくように心がけ、触ってもらいながらメニューの説明をし、常に声かけをして見守った。最初は少しぎこちなかったが、今ではスタッフの働きかけによって自分で上手に食べられるようになった。
意欲を引き出す
左上下肢に軽い麻痺があるので、リハビリを勧めたが本人は「そんなのいらん」と拒否していた。そのため、「軽い麻痺なので、少し頑張ってリハビリをすれば力も入るようになるよ」と会話の中で常にリハビリを勧めた。それと同時に、訪問の整骨の先生にも協力して声かけをしてもらった結果、リハビリに取り組むようになった。最初は「リハビリは痛い」と言っていたが、「左手が自分で動くようになった」と本人の口から喜んで話してくれるようになった。コミュニケーションを大切にし、意欲を引き出すように励ましの声かけを繰り返すことによってリハビリが進み、排泄についてはオムツからリハビリパンツ使用に切り替え、排便についても、ポータブルトイレからトイレ使用へ切り替えることができ、本人も喜んでくれた。当初は意欲低下気味であったが、励まし、褒めることで本人も少しずつ気持ちに変化が生まれ、以前に比べると意欲的に生活できるように変化した。
利用者・家族の声
家族の声:元気になりましたなあ。前は何に対しても意欲がなく「もういい」とすぐにあきらめていたのに。自宅では吐血を繰り返し、入退院も繰り返したが、今ではほんと落ち着いている。本当にありがとうございます。ここに入れて良かったですわ。自分も年ですし、自宅ではこんなに行き届いた介護はできません。本当にスタッフの方々に感謝しています。
結果とまとめ
「何をやってもだめ、寝ているのが一番いい」とよく言っていた利用者がリハビリを始めてから意欲を出すように変化した。声かけとコミュニケーションを続けることで良い関係が築け、冗談を言って職員を笑わせたり、声だけで職員の名前を言い当てたりとホームの生活に馴染み、入居当時に比べて笑顔が増えた。また、福祉用具の利用により、食事時のむせもほとんどなくなり、心身ともに安定するようになった。
どのような境遇の利用者でも、声かけとコミュニケーションを深めることは一番大切である。本事例では、視覚障害の利用者であるため、特に会話が重要で、問いかけて考えていることを話してもらい、会話により相互の理解を深めることができたと思う。スタッフや利用者とのコミュニケーションにより生活に楽しみが生まれ、リハビリを開始したことで、できることが増え、それらが本人の生活意欲に結びついたと言える。全盲というリスクも感じられないほどの成果だと思う。
『マナー・接遇研修会』開催のお知らせ
2013年5月16日 木曜日NPO法人ケア・ユニゾンでは、昨年に引き続き、マナー・接遇に関する研修会を下記のとおり開催致します。毎年ご好評をいただいており、介護事業に携わっておられる方々のご参加をお待ちしております。
【内 容】 「よりよいマナー・接遇」について
【開催日時】 平成25年 6月 21日(金)13:30~16:30(受付13:10~)
【開催場所】 藤井寺市民総合会館 (パープルホール:別館 3階 305室)
【講 師】 増田 知乃 (有限会社レイズ 人材育成コンサルタント)
【定 員】 60名
【参 加 費】 1,000円
なお、研修会に関して不明な点があればNPO法人ケア・ユニゾン(TEL:072-931-7877)までお問い合わせください。
※当研修会は定員に達しましたので募集を締め切らせていただきます。多数のご応募ありがとうございました。
ケアホームだより5月号
2013年5月15日 水曜日ケアホームだより5月号をアップしました
養成講座開講情報(大阪府内)
2013年5月15日 水曜日平成25年5月14日現在の、大阪府内の事業所での養成研修講座の開講予定をUPしました。 介護職員初任者研修・移動支援従業者養成研修・同行援護従業者養成研修の直近4か月分の開講予定がご覧になれます。
詳しくは、『資料のダウンロード』のページ内の大阪府養成研修講座資料の項目をご覧下さい。