事例
本人像:70歳女性 要介護3/パーキンソン病
(サービスに至る経緯)
1年前から体の動かしにくさ、ふらつきがあったため病院で検査を行った結果、主治医よりパーキンソン病と診断される。自宅では1人暮らしのため料理、洗濯、買い物など家事をすべて自分で行っているが、体を動かすのが困難なため一つ一つ動作に時間がかかっていた。現状の生活が維持できるように体の動かしにくさの改善を目的としてデイサービスの利用を開始した。
(デイサービス利用開始時の状況)
・デイサービスでは入口で椅子に座って靴を脱ぎ、室内用靴に履き替える。
・靴の着脱動作がゆっくりなため、靴を履き終えるまで時間がかかっていた。
・靴をどうしても履けない日は、靴のかかとを踏んで歩いていることもあった。
(対策)
・体の動かしにくさを改善し、生活をしやすくすることを主目的として週1回通所での運動を実施する。
・パワーリハビリテーション(上肢・下肢の運動)を行う。
(経過)
1ヵ月目:パワーリハビリの上肢と下肢の運動を靴を脱いだ状態で行う。パワーリハビリ終了直後は、片手を壁について支えにし、たった状態で靴を履くことができるようになる。
しかし、「数日経つと体の動かしにくさが元にもどる」と言い、翌週の利用時には靴を履くのに時間がかかる状態に戻ってくる。
3ヶ月目:パワーリハビリ終了後、数日経つと体の動かしにくさが元に戻っていたが、この頃から少しずつ体の動かしにくさが改善され、デイサービスの来所時や、自宅で椅子に座っての靴の着脱が以前に比べて早くできるようになった。
(現在の状況)
・デイサービス利用から5ヶ月経過した現在は、体の動かしにくさが改善され、一番大きく変わったところは靴を履くのに時間がかからなくなったことである。
・自宅の家事についても動作がスムーズになったため、時間が短縮できた。
(利用者の声)
「パワーリハビリテーションをするようになってから、体が動かしやすくなり生活がしやすくなった」
(まとめ)
パワーリハビリテーションにより動作性が改善し、靴の着脱がスムーズになった事例である。パーキンソン病の特徴的な症状の一つに『動作緩慢』があり、動きが小さく、動作がゆっくりになることがある。そのため、体のいたるところで使わない筋肉が増え、動作性が低下していくという悪循環に陥る。
パワーリハビリテーションは軽い負荷で各部の使っていない筋肉を万遍なく動かし、全身の筋肉を使うことで眠っている力を活かし、発揮する。又、運動をすることで脳内にドーパミンという有益な物質が分泌され、その影響でパーキンソン病の症状が軽減すると言われています。このような結果によって体の動かしにくさが改善され、靴の着脱等の動作を始め、生活動作にかかる時間が短縮した。