本人像:60代女性/要介護3 先天性骨形成不全 変形性膝関節症
利用までの経緯
姉弟共に先天的に身体障害があり、子供の頃は学校へも行かず、障害サービスが使えるようになって初めて社会へ出るようになった。身体状況は立位困難、歩行不可で室内はいざり移動、室外は車椅子移動で介助が必要。排泄・食事・入浴は環境が整っているが、食事の支度をする・掃除をするなどのIADL(手段的日常生活動作)は全介助が必要である。本人は弟と2人暮らしで、同敷地内別棟に両親・妹家族が在住。主介護者は母親で、介護保険サービスも使いながら、在宅生活を継続している。入院を期に、悪化しやすい自分の症状への不安と主介護者である高齢の両親の体力低下への不安が増し、特養入所の申し込みをして待機中の状態である。
援助の方針と働きかけ
(1)意欲や意向を大切にした生活への支援
社会参加への意欲が高く、他者との関わりや活動を楽しみにしているので、本人の希望や意向に沿ったデイサービスや通所リハビリを紹介した。3ヵ所のデイサービスを利用し、2ヶ所は本人に適した個別リハビリテーションを目的とした通所リハビリで、胸部呼吸器を強化する運動や筋力の関節の可動域を保つ運動、療法士による徒手療法を行っている。残り1ヶ所のデイサービスでは、レクリエーション・創作活動などが主な内容で、他者との関わりや生活への楽しみを持てるような活動を取り入れた。
また月1回はお花見や映画鑑賞など自分で計画を立てて外出を楽しんでいるため、モニタリング時には、バリアフリーで楽しめる外出先、趣味などの情報を提供して参考にしてもらった。
(2)将来の生活を見据えた支援
将来のために特養の申し込みをしているが、特養待機中に利用できる施設も考えているため、本人の意向に応じてパンフレットを届けたり、施設見学をしてもらったり、ショートステイ・有料老人ホームの短期入居などを体験してもらっている。将来の生活を見据えて、できるだけ本人の意向に沿った適切な施設を紹介し、特養入所に至るまでの間、安心して過ごせるよう支援した。
利用者の声
「以前はどこにも出かけていなかったけれど、サービスが利用できるようになり、社会に出られるようになってとても嬉しい。訪問介護でも、自宅の環境をいつもきれいに整えてくださりとっても感謝しています。」
結果とまとめ
現在は、通所リハビリやデイサービスに通うことで、健康を維持し、他者との会話やコミュニケーションを楽しめている。他の利用者との交流の場ができたことで、表情も明るくなった。また、市町村主催の日帰り旅行や、自分で計画を立て、ガイドヘルパーを利用して積極的に外出するなど社会参加も実現できており、本人の思いに沿った本人主体の生活ができていると思う。