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タイトル
マーク 2012.10.05 line 訪問介護(成功事例):ヘルパーの援助により夫の苛立ちを軽減

本人像:70代女性/要介護2 脳内出血の後遺症による右半身麻痺


利用までの経緯

脳内出血を発症し、右半身麻痺の後遺症が残る。夫婦2人暮らしで、夫は認知症を発症しており、飲酒量が増えると暴言を吐いたり、物を投げたりすることがある。しかし妻(本人)は芯がしっかりしており、自分でできることはすべて自分で行い、夫が暴れていても平然としていて物事にあまり動じない人である。右半身麻痺がある中、これまで半製品やでき合いの食材を利用しながら、かなりの時間をかけて食事の準備をしていた。デイ利用日は帰宅時間が遅くなるため必然的に夕食の時間も遅くなり、夫の飲酒量が増え荒れることが多かった。娘は、手の込んだ調理の補助や父親が暴れたあとの後片付けや説得などを行うため度々訪問していたが、子育てなどで忙しいため負担が大きいようであった。


目標

ヘルパーが援助することで精神的・肉体的な負担を軽減し、社会参加の余裕をつくる

安全で安心できる生活の確保

間接的に夫の精神的安定を図り、本人・家族の負担を軽減する。


援助の方針と働きかけ

(1)夫の精神的安定への支援

夫は認知症で妻の身体状態に対する理解も低く、飲酒量が増えると暴言・暴力行為が度々あり、ヘルパーは本人と一緒に避難したこともあった。そのため、ヘルパーは家の空気を見ながら訪問するような状態であった。本人はデイサービスも利用しており、利用日は帰宅が遅くなるため、自然と夕食準備が遅くなった。夫はお酒を飲みながら待ち、遅れると飲みすぎて暴れることが多かったため、特にデイサービス利用日に調理補助に入ることで調理時間短縮を図り、食事時間が遅れないように配慮した。

また、麻痺のため調理時間がかかり、手の込んだ料理ができていなかったが、ヘルパーが補助することで時間的にも精神的にもゆとりが生まれ、栄養バランスを考えたメニューも作ることができるようになった。ヘルパーはあくまで調理時間短縮のためのサポートを心がけ、メニューの決定・食材の準備・味付けなどは常に本人の意見を尊重して本人が主体になって決定し、自立心を尊重するようなサービス提供を心がけた。

夫は、他者が入ることで気を使う傾向があり外向きの顔になるため、ヘルパー訪問がそのまま夫婦のクッション的役割になり、間接的に夫の精神的安定を促せるように、そして本人・家族の精神的負担の軽減に繋がるように配慮した。


(2)身体保清の支援

右半身麻痺で拘縮もきつく自宅の浴槽も深いため、1人での入浴は困難な状態で、自分では週に1回程度シャワーを浴びるだけしかできなかった。ヘルパーの入浴サービスにより週に1回は安全にゆっくりと入浴時間が持てるようになり、定期的な身体保清が保てるだけでなく、湯舟に浸かって本人もとても気持ちが良いと喜んでいた。


結果とまとめ

ヘルパーサービス利用により、調理時間が短縮されて、夫の荒れる回数も減少した。ヘルパーは、調理時間の短縮の力になるだけでなく、認知症の夫への影響力も大きく、夫婦間のクッション的役割も果たすことになり、その結果、本人や娘にとっての肉体的負担だけでなく、精神的軽減にも繋がったと言える。

現在は本人の気持ちに余裕も見られるようになり、料理番組でやっていた新しいメニューに挑戦したりするようになった。さらに自由時間も生まれ、月1回婦人会のサロンに参加したりと、地域活動もできるようになった。

本人の我慢強く前向きな性格も良い成果が表れた要因の一つであるが、ヘルパーが常に本人の意見を尊重してサービスを提供し、利用者との信頼関係をうまく築けたことが、本院の精神的・肉体的負担の軽減に結びついた事例と言える。

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