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タイトル
マーク 2013.05.02 line 訪問介護(成功事例):ヘルパー拒否から1ヶ月半で拒否の解消へ

本人像 80代女性 要介護3・認知症

 

利用までの経緯

 2人の息子は遠方在住のため、夫の死後は独居になる。認知症の進行により1日に何度も郵便局にお金を引き出しに行ったり、薬をもらいに何度も通院したりとトラブルも増えた。自治会の方からもこのままでは火事を起こしたら危ないと行政に連絡があり、ヘルパーサービスの利用開始となる。ただし、本人はヘルパー利用料がかかるためヘルパー利用の提案を拒否するので、当初は本人の代わりに息子が契約し、ヘルパーは市の職員という名目で訪問開始となる。


援助の方針と働きかけ

 ヘルパー利用を拒否していたため、最初は市の職員として家に入れてもらう。そこを切り口に本人と信頼関係を築くようにした。そのためには、まずは利用者の話を聞き、受容と傾聴の態度でコミュニケーションをとり、心を開いてもらえるように努めた。そして、次のステップとして生活援助や身体介護などのサービスの開始を目指した。


サービス受け入れまでの取り組み

 当初は市の職員という名目で訪問を開始したため、最初の1か月半はお客様扱いで応接室に通され、対話だけでサービス時間が終了した。本人が若い頃は、看護師として活躍していたため話はいつもその頃の話題になり、傾聴姿勢でコミュニケーションをとり関係をつくることを大切にした。話の中で、手先にしびれがあり包丁が使えないと本人が話してくれた時には、さりげなく「お手伝いしましょうか」と尋ねてみるが、いつも「自分でできる」との返事で、なかなかサービス開始に繋がらなかった。

 当初からコミュニケーション重視の方針で取り組んでいたが、話を聞くだけで何のサービスもできないことに、ヘルパーは焦りを感じ、顔馴染みになっても進展しない状況にこのまま続けていいのかというジレンマを感じる日々が続いた。そのため、ある日思い切って「今日はとても良いお天気だから掃除でもしましょうか」と積極的に言い、明るく率先して掃除機をかけた。本人は突然のことで驚いた様子だったが、特に抵抗せず、掃除が終わると素直に喜んでくれた。そしてその日を境に、台所に立つことも受け入れてくれるようになり、調理も一緒にできるようになった。その後は、買い物同行の依頼もあり、本人と話しながら一緒に買い物に出かけられるようになるなど、1つずつ援助できることが増えていった。

 入浴については提案すると「こんなお昼からお風呂には入れないわ」と言われたので、まずは風呂の掃除をしてから様子を見て、「もう、お湯を張っておいたので入りませんか」と誘導してみると拒否なく入ってもらえることができ、今では洗髪などの介助もできるようになった。


認知症の方への配慮のしかた

 認知症の方と話をしていると同じ話を何度もする時があるが、認知症の方もプライドがあり、言われたことを理解していることも多いので「前にも聞きましたよ」とは絶対に言わず、何度も耳を傾け「受け入れてもらえている」という安心感を持ってもらえるように心がけた。また、レンジで温めた食事をそのまま忘れて食べてない時も多いが、そのことを知ると本人が落ち込むので、そのことには触れずにさりげなくレンジや炊飯器の中を確認し、忘れないように食事を取ってもらうようにした。


結果とまとめ

 サービス時は、本人の思いを聞き入れてその意向に沿うという受容の姿勢はどの利用者に対しても大切だが、特に拒否のある利用者にとってはその姿勢が安心に繋がる。しかし、本事例では、状況が改善されない中、ヘルパーの立場から改善に向けて積極的に働きかけたことがいい結果に繋がった。これは始めの頃に話を聞くコミュニケーションに徹したことで利用者とヘルパーの間に信頼関係ができたことによる結果であると思う。状況を見てヘルパーが誘導し、積極的に状況改善のきっかけをつくってあげることも大切であると感じた事例である。

 

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