本人像 80代 男性 要介護1
利用までの経緯
妻の死後、認知症状が見られるようになる。そのため、食事量の偏りや日時の理解も低下し、スケジュール管理も難しい。また、車で買い物に出かけるのが好きだが、大量に食品を購入したり、金銭の計算ができなくなってきたり、下肢筋力の低下により家事などの日常生活が難しくなった。本人は息子との同居を希望しているが、息子たちには事情があり同居は難しく、金銭的な面から施設の入居はできず、本人の在宅生活の継続のためにヘルパーの導入となる。
援助方針と働きかけ
・下肢筋力低下のため日常の家事全般に援助が必要。
・一日一度は人との関わりを持ち認知症の進行を防ぐ。
ヘルパーの取り組み
寝起きが悪いため午前のサービスの時には応答がなかったり、夕方の買い物サービスがあることを忘れて入浴したりという事が多々あった。それに対してヘルパーは根気よく本人が出てくるのを待つことも多かったが、定期的にヘルパーが訪問することにより、訪問スケジュールに慣れてきた。また、慣れた習慣が崩れるのを防ぐためにできるだけ決まった時間に食事を提供するように努めた。
人との関わり
本人は対人関係に消極的なところがあり、一日中誰とも会話しないことがあるため、ヘルパーはサービス提供中には積極的に会話をしながら作業を進めるように配慮した。
結果とまとめ
物忘れが多く、最近は食事をしたことを忘れて過食傾向も見られるなど認知症状は進行している。しかし、毎日決まった時間にヘルパーが訪問し、毎日がきめられたスケジュールで動いていることが、精神的に安定した生活につながっていると思われる。家族も積極的に介護に携わっており、忙しい中でも度々訪問し、休日には銭湯やカラオケなどに付き合うなどしている。認知症の高齢者であっても家族とヘルパーがしっかり協力体制をとって利用者の生活リズムを確保し、日常生活を支えていることが独居在宅生活の維持と安定につながっている事例である。