本人像 70代 女性 脳梗塞
利用までの経緯
長男と同居していたが、本人が認知症とパーキンソン病を発症したことにより、長女と同居になる。しかし、長女が介護負担に困り、施設入所となった。
家族の意向
家族:なんとか食べられるものだけでも口から食べさせてあげたい。チューブや胃ろうはさせたくない。
解決すべき課題
・座位姿勢が保持できない。
・姿勢の崩れから首の筋肉に負担がかかり、嚥下状態が悪化している。
・経口摂取困難により栄養状態が悪い。
・認知症のため介護が困難。
援助方針と働きかけ
首の緊張緩和
首の緊張緩和のため整体師によるマッサージや看護師の指導による嚥下体操などを行い、リハビリを取り入れて身体機能の向上をめざす。
姿勢の保持
クッションを使用して、ポジショニングを工夫する。
経口摂取
「食べられる物を食べられる時に食べられるだけ」を基本に、食事時間に配慮し、無理なく少しでも経口摂取ができるように援助する。
結果とまとめ
介助の方法やポジショニングなど工夫をしながら、職員は専門知識(嚥下の生理学やメカニズム、正しい座位姿勢)も学び、チーム一丸となって取り組んだ。その事が成果につながり、食事の経口摂取が進み現在ではお粥やきざみ食を食べられるように改善し、当初は栄養状態が悪かった本人も目に見えて元気になった。家族からも「こんなに元気になるとは思っていなかった」と感謝された。本事例は、利用者だけでなく職員にも良い成果を及ぼし、現在、他の利用者にもこの経験を活かして取り組むことで利用者の笑顔に繋がるという良い連鎖を生みだした。家族や本人の希望を取り入れることは職員の質も上げるという事例であると言える。