本人像: 70代 女性 パーキンソン病 要介護4
利用までの経緯
離婚して独居で飲食関係の仕事をされていたが、パーキンソン病の進行とともに体が硬くなり、歩行のための一歩が出にくく、幻覚を見るようになる。そのため、一人での生活が不安になり、ホームに入所することになる。
解決すべき課題
・転倒防止
・部屋の整理整頓
援助の方針
すべて介助するのではなく、起床・就寝の準備・入浴など自分でできるところはしてもらいながら援助する。
レクリエーションに参加を促し、ホームの他の利用者とのコミュニケーションを深めて生活の活性化を図る。
しっかり自分の意思を持たれているので、自尊心を傷つけない態度で接する。
働きかけ
・飲食関係の仕事をされていた経験から「熱いものは熱く頂きたい」というこだわりがあるため、味噌汁やシチューなどはできるだけ冷めないように最後に配膳するように配慮している。
・他のご利用者とコミュニケーションがとれるようにと始めのうちは声かけをしてホールへ連れ出し、みんなと過ごせるように配慮した。今では、他の利用者と話をしたり、おしぼりや洗濯物を積極的にたたんだりして、すっかりホームに馴染むことができた。レクリエーションでのカラオケ・夏祭り・ホットケーキ作りなど楽しい行事に笑顔が増え、利用者同士の会話を楽しみ、レクリエーションで歌った歌を普段も口ずさんだりしてホームの生活を楽しんでいる。また、すべて自分でしなければいけなかった自宅とは違い、スタッフも少し手伝うので、部屋の整理整頓もきっちりできている。できる事は自力でしてもらうようにしているが、排泄面については、トイレに間に合わないなど困難があるので、スタッフが気にかけて介助に入るようにしている。
利用者の声
食事も出してもらえるし、洗濯もしてもらえるし、しんどい時は医師やナースにすぐに診てもらえるので本当に安心して毎日が過ごせます。
結果とまとめ
パーキンソン病のために、体が自由に動かないといった不安な生活であったが、ホームで過ごすことで規則正しい生活とバランスのとれた食事ができ、24時間スタッフがいる安心と、日常生活の安全性が高まり、本人の精神安定に繋がっている。スタッフが、食事の嗜好や要望を聞いてあげたり、利用者が呼ぶとすぐに返事をしてあげるなど、できるだけ利用者の立場にあったアットホームな雰囲気で介護をしていることが、利用者の入所生活を楽しく安心のあるものにしていると言える。