本人像:70代 男性 要介護2 認知症
利用までの経緯
妻と二人暮らし。腰痛があり、歩行時のふらつき等が最近気になってきたため、筋力低下を防ぎたい。また、認知症と鬱病の診断もあり、妻の介護負担の軽減の目的もあるので、サービス利用となる。
家族の意向
家族でできるかぎり介護を行い、在宅生活を継続したい。
認知症への接し方を知りたい。
解決すべき課題
・閉鎖的な環境の改善
・妻の介護負担の軽減
・本人の認知症にたいして妻が困惑している。
援助方針と働きかけ
・リハビリにより身体機能の維持・向上を図り、他者との関わりを持つことで認知症の進行を和らげる。
・家族が認知症を理解できるように本人の生活状況や認知症についての情報提供を密に行いサポートする。
下肢筋力をつけて安定歩行を得るためのリハビリ
バランスと持久力の訓練にスリングとパワーリハビリ器具、マット運動を取り入れた運動プログラムを作成して実施し継続する。もし拒否があった場合には、基本的には無理強いはせず、優しい表情で声をかけたり、時間をおいて声かけをしたり、一緒に話をして気持ちを落ち着かせたりしてから促す。
不穏になられた場合の対応
対応者とは別のスタッフに声かけをさせたり、昔話や田舎話など長期記憶の話をもちかけたり、自宅に電話をかけ妻と会話をしてもらうなどして本人の気持ちを言葉で全部出してもらう。また静かなところへ誘導し気分を落ち着けてもらうなど穏やかに対処する。
家族への情報提供
家族とのやりとり用にファイルを作り、その日の様子を通所側と家族側双方から書き連ね、情報を共有する。文章だけでは伝わりきれないと判断した場合は電話で話をした。
利用者・家族の声
家族の声:夫の認知症をなかなか受け入れられなかったが、スタッフの接し方や対応を見て徐々に夫の病気を理解できるようになり、夫がもっとも平穏に過ごせる方法を受け入れることができた。
結果とまとめ
適度なリハビリを継続して行うことによって、身体機能を維持することができた。妻は本人の症状を受容することが当初はできていなかったが、こちらからの働きかけや認知症に関する密な情報提供、コミュニケーションを行うことにより少しずつ受けいれることができるようになった。また、そのことで本人が生活していく上で一番平穏に生活できることは何かということを理解することができ、次のステップとして本人に合った環境設備のある施設の利用に踏み出せたと考えられる。